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「リターンズ」(メットライフアリコ)とはどんな保険? [生命保険]

「リターンズ」(メットライフアリコ)という商品があります。メットライフアリコが、アリコジャパン時代から積極的に募集していた商品です。コマーシャル戦略が活発なアリコですから、ご存知の方も多いのではないかと思われます。

文字通り、加入者がリターンボーナス(生存還付給付金)算定期間の満了時に生存していれば、「保険料相当額が全額戻る」というもの。リターン(返戻)していたら保険会社の利益がなくなるじゃないかというふうに思われるかもしれませんが、まあ簡単に述べると、徴収した保険料を運用して運用益で戻すわけですね。

ならば、事実上、保険料がタダで保険に入れるのではないか、などとコマーシャルを見た人は考えてしまうかもしれません。

生命保険会社が、保険料を取らずにタダで保険に入れてくれるわけがありません。

この商品は、年齢の若いうち(満20歳~40歳)に加入させ、また払込期間を60歳までとはやめに「集金」することから、より長くより多くの集金保険料を運用できるために、一定の年齢(算定期間の満了時)になると返戻できる保険料が払込保険料を超えるというだけのことです。

終身保険に加入している方ならおわかりと思いますが、払い込み期間終了後の解約は、解約返戻金の方が支払い保険料よりも多くなっているケースは別段珍しいことではありません。

この商品の払込保険料を見ると、終身医療保険としては他社商品と比べてもけして安いとはいえません。

また、「全額戻る」といっても、入院等の給付金や健康ボーナス(5年ごとに継続5日以上の入院給付金がない場合に受け取れる無事故給付金)などがあれば、それらは「戻る」部分から差し引かれます。

また、この保険を途中で解約した場合や死亡事故があった場合などは、「戻る」金額は払い込んだ金額を下回ります。

同類の他社商品と比べた場合、どうでしょうか。

ほぼ同じようなコンセプトでは「健康ノススメ」(AIGエジソン生命)があります。こちらはがん入院給付金に支払限度日数がありませんが、「リターンズ」にはそのようなはからいもありません。保険料自動振替貸付(解約返戻金の範囲内で自動で保険料を立て替えてくれる制度)も取り扱ってくれません。

絶対に解約しないという信念と経済的な見込みのたっている人で、結果として長生きしたという場合以外は、必ずしもお得な保険とはいい難いように思われます。

メットライフアリコは、他社の競合商品に比べて割高といわれていますが、宣伝の量と質でそれをカバーしているようです。

同商品を含めた各社生命保険商品の解説は、拙著『生命保険のウソ・ホント』(九天社)に詳しく書かれています。

生命保険のウソ・ホント―賢く・損せず生命保険・医療保険に入る方法

生命保険のウソ・ホント―賢く・損せず生命保険・医療保険に入る方法

  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 九天社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本


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